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大山と豆腐の歴史

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大山とうふまつり2018パンフレットより

大山は、山岳信仰の霊山として、また農民からは水を司る神として、漁民からは航海の目印ともなる海の守護神として古くから崇拝されていました。ここに阿夫利神社が創建されたのは、社伝では紀元前97年とされています。
また大山寺の開山は早く、奈良時代の天平勝宝7年(755)に、華厳宗の良辨(ろうべん)僧正が入山したことによるとされています。良辨僧正は、日本に華厳宗を広めた僧で、奈良東大寺建立に尽力し、初代別当になった人です。一説によれば、相模の人とも言われています。
平安時代には、神仏習合思想により山頂の阿夫利神社には石尊大権現が、山腹の大山寺には不動明王が祭られて、大山全体で神仏一体の姿ができあがりました。以降の大山は、僧侶と修験者、神職の三者で維持されていくことになります。
朝廷の庇護も受けた大山信仰は、武士の間にも広がっていきました。鎌倉幕府を開いた源頼朝を始め、足利尊氏、小田原北条氏等、多くの武士の信仰の対象になりました。
そして時代は江戸に移り、家康は慶長10年(1605)、大山の大改革を「寺院法度三ケ条」により行いました。これにより、山上にいた多くの修験者や妻帯の僧らが前不動から下におろされ、大山と蓑毛(秦野市)に定住して御師になりました。
改革の後、江戸幕府は、春日局や高僧を度々代参に送り、将軍家のための加持祈祷を行い、同時に寄進などの経済的な援助を実施しています。将軍家との結びつきが強まる一方、江戸市民の中の知識人や上層商人の間でも、大山の存在が認識されるようになり、大山信仰は江戸の市民にも広がっていきました。
この背景には、御師たちが江戸をはじめとした諸国の村々を廻り檀家を獲得し、大山信仰の布教や講の結成、参詣者の勧誘に努め、さらに参詣者への宿泊場所の提供、寺社への案内等を行うようになったことも大山発展の大きな原動力になったと考えられます。
また、江戸の町の人口が増えたことも大山を発展させた一因です。徳川家康は、江戸幕府を開くと、諸国の大名に命じて、大規模な海岸埋立工事などの基礎整備に着手。
さらに、二代将軍秀忠は天下の政庁にふさわしい城をめざして、継続的な江戸城の大拡張を始め、三代将軍家光の時に天守閣、大手門、本丸御殿などの江戸城の主な建物が完成しました。できあがった江戸の町には、旗本や諸大名、商人、職人など、多くの人が住むようになり、開幕当時の寒村が天明のころには135万人を超える人□を持つ大都市に変貌しています。大都会江戸の町から見える
霊峰大山に人々は憧れ、江戸の人□の増加と比例して、参詣者は増加していったのではないでしょうか。
この頃になると、宿泊の形態も「木賃宿」から一泊二食付きの「旅雁」へと移り変わり、御師たちが食していた精進料理である豆腐料理が広まっていきました。
今でこそ「大山と言えば、豆腐料理」と言われるほど有名な名物となりましたが、それにはいくつかの理由が考えられます。
例えば、
「参詣者に供給する大里の食糧を保存しておく設備などがないため、井戸水などの冷水につけて保存できる豆腐などは、最適の食糧であったこと。」
「豆腐の製造と保存に適した霊峰大山の良質の水が使われたこと。」
「江戸の発展と共に大幅に参拝者が増えていったこと。」
「豆腐が修験者や僧職経験者が食べ慣れた精進料理だったこと。」
「大山の御師たちが配札や祈祷、日侍行事などを行い、謝礼として受け取り集められた大豆などの
豊富な原材料が大山に集中したこと。」…など。
このように多くの要因が複合し、高品質の豆腐が大山に生み出され、さらに育っていったために「大山の名物=豆腐」という図式ができあがったのです。
話を歴史の方に戻しますと、大山は、江戸中期になると、江戸の大火、関東の大洪水・飢饉、都市の打ちこわし、農民一揆などが続き、人々が神仏にすがろうとし、大山信仰もさらに盛んになりました。
そして、参拝者のさらなる増加に伴い、多くの大山街道が整備され、参詣者と御師の往来はますます頻度を増し、門前町としての大山も最盛期を迎えることになりました。
山頂の「石尊大権現」と中腹の「別当寺雨降山大山寺]を中心に栄えてきた大山は、明治元年に神仏判然令が出されると、神社と大山寺に分かれ、石尊大権現は「阿夫利神社」に社号復元がされます。
また、同6年には国学者権田直助を迎え、その指導によって御師は先導師に改称するなど、神仏分離後の大山再興に向けた努力が行われています。
その後も、信仰の山として、豆腐料理の里として、多くの善男善女を迎え、さらに最近では首都近郊の手軽な観光地としても多くの人を集めています。

 

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